民間助成(理系編・文系編)
「研究者の歩きかた」セミナーシリーズ #4
~民間財団助成を活用し、チャンスを広げよう~
学術研究支援室(KURA)では、若手研究者のための「研究者の歩きかた」セミナーシリーズを企画しています。 今回は、民間助成に関するセミナーを理系編と文系編に分けて開催しました(イベント情報)。科研費以外にもフレキシブルに研究費を獲得できるようになる、研究マネジメントの考え方を身につけるきっかけとなるセミナーとなることを目指し、民間助成の概要、見つけ方、申請書を書く際の注意点などについて説明しました。
説明資料はこちらです。
説明資料(理系編)【学内限定アクセス/印刷不可/ダウンロード不可】
⇒印刷版をご希望の方は<ecr@kura.kyoto-u.ac.jp>までご連絡ください。
理工系分野の民間助成採択率データ【学内限定アクセス/ダウンロード不可/印刷不可】
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説明資料(文系編)【学内限定アクセス】
Q&A(下記Q&AのPDF版です)
「研究者の歩きかた」セミナーシリーズ #4 民間助成(理系編・文系編)Q&A
読みやすいように編集を加えています。セミナー中の質問や回答そのままではありません。
セミナー中に十分な回答ができず追加情報がある場合は、回答内容を変更しています。
■2020年7月10日 理系編①
採択率のグラフ
Q:採択率のグラフの率は財団ごと、京大からの採択率ですか?
A:プログラムごと、京大に限らない全体の採択率です。
プログラム名
Q:ただの「研究助成」と「〇〇研究助成」の違いはありますか?
A:プログラム名のことでしたら、助成財団による名前の付け方の違いとお考えください。単に「研究助成」という名称でも、対象分野などに制限がありますので、募集要項を確認する必要があります。
難易度
Q:民間助成採択の難易度は採択率のみで判断できるのでしょうか? 申請者の平均年齢や応募できる分野数などでだいぶ変化するような気がします。
A:難易度は採択率のみで判断できるものではありません。応募条件や対象とする分野、学内推薦の有無等によって、採択率は影響受けますので、一律に比較できるものではありません。一方で、ご自身が応募しようとする民間助成を複数見比べたときに、どの財団に積極的に応募するかの判断等には有効な材料になりうると思います。
業績
Q:採択されるために業績は重要ですか?
A:必ずしも業績が多いと良いというものではありません。プログラムによります。業績を書かせるプログラムでは、業績を意識して書くと良いでしょう。そうでない場合は、業績はあるに越したことはありませんが、気にしすぎる必要はありません。
Q:これまでにいくつか民間助成金への応募をしてきましたが、科研費と比較して求められる業績が多い(例:直近5年間で10報)ように思うのですが、やはり業績重視(実行可能性?)なのでしょうか?
A:財団によって記載が求められる業績の数も様々です。多い財団もあれば、少ない財団もあります。業績重視なのか、そうでないのかも財団によると思われます。
Q:民間助成資金の使い方として、萌芽的な研究課題に活用することを推奨されていますが、民間助成資金ですと成果がある程度保証されている(萌芽的な側面の薄い)課題でなければ採択が厳しいように思います。それでも芽出しの研究に民間助成を利用することの利点・メリットはあるのでしょうか?
A1:どのようなタイプの課題が採択されるのかは財団プログラムにより様々です。一般的な話になりますが、萌芽的な研究が採択される・好まれるものもあります。
また、実現可能性という観点から考えますと、究極の目標はそう簡単には達成できなくとも、そこへ至るプロセスの一部をその助成で実施するという書き方で採択されることもあります。(科研費でも同じことが言えます。)
A2:助成財団によって求めるものは様々ですので、もしかしたらご質問者が情報を得た財団のケースではそのような印象が強かったのかもしれません。一方、私が先日、某民間助成の審査員経験者にお話を伺ったときには、どちらかというと短期的な成果は求めないという印象のことをおっしゃっていました。もう少し付け加えると、やはり大きな金額の助成の場合には、ある程度結果を求められる場合もあるが、小さな金額(例えば100万円/年程度)であれば、それほど成果を求める意識は強くない、ということでした。
民間助成は様々なフェーズ、規模、時期に合わせて公募があります。また多くの場合個人研究です。ですので、まずはこんなことを試してみたい、ということに対して始めやすいメリットがあると思います。周りの研究者の方々がどのような状況かわかりませんが、そのように民間助成を上手に使って研究の芽をたくさん増やしている先生方はたくさんいます。
分野別の採択率
Q:民間助成で採択された課題の分野を大まかに見せておられたと思うのですが、そうした採択課題とKAKENHIサイトでの大区分・中区分との対応がまとめられているサイトなどはありますでしょうか? 具体的に自分の科研費応募分野との詳細な対応が分かればと考えています。例えば、KAKENHI 中区分番号**の課題の研究者代表者が採択されている民間助成資金をリストアップした場合に、どの財団において採択率が大きいかといったことを調べることはできるでしょうか?
A:こちらについて、そのような情報は持ち合わせていません。ご自身の研究分野で多くの採択者がいる分野を知りたいということでしたら、まずは研究分野の近い研究者の方に、どのような民間助成に出されているか訊くのが一つだと思います。一方で、多くの方が出している助成は競争率も高くなるということはあります。民間助成については、一般的に公募要項などで書かれているよりも多少広めの分野で採択されている印象があります。ですので対象分野が引っかかりそうな民間助成をピックアップしてみて、それらについて採択者、採択課題、採択率等を比べてみるのがよいかもしれません。
■2020年7月10日 文系編①
キャリアパスと研究費
Q:キャリアパスの図ですが、自分は博士の学位を取る前に予算をとってくる必要を感じなかったのですが、分野によっては必要性があるのでしょうか?
A:文系の場合は、博士号を取得までにかかる時間が長い場合が多いので、応募する必要性が出てくる場合もあります。
博士課程でも応募できるものもあります。日本学術振興会特別研究員(学振)の研究費だけでは足りない場合や学振を取る前に応募するのもありだと思います。
Q:理系の場合は、博士の学位を取る前に応募できる民間助成はあまりないと思っていたのですが。
A:理系の場合もあります。分野によっては多くあったりします。
ウェビナー
Q:Webinarって参加者の動画は主催者に見えてるのですか?
A:今回のZoomウェビナーでは主催者から参加者の映像が見えない設定でした。参加者側のビデオ使用が可能な設定になっている場合でも、ビデオのオン/オフは参加者が変更できます。
■2020年7月15日 理系編②
KURAのブラッシュアップ・サービスの対象
Q:いつも政府系公募のブラッシュアップでお世話になっているものです。民間助成の申請書のブラッシュアップは具体的にどの財団の助成が対象になるのでしょうか?
A:どの財団かは限定はしていません。ご連絡いただければ、どの財団でもブラッシュアップします。
学生対象プログラム
Q:現在博士課程の学生です。学生でも応募できるプログラムもあるということでしたが、分野によってプログラムの有無に偏りはあるのでしょうか?
A:博士号取得後の研究者が応募するものに比べると数は少ないですが、博士課程の学生でも応募できるプログラムは、一定数あります。例えば、笹川科学研究助成のようにすべての分野に開かれたものがあります。分野による偏りに関しましては、情報を持ち合わせておりません。各学会でその分野の若手向けのプログラムを用意していることもあります。広く周知されるようなものではないので、学会からの情報に注意してみてください。
■2020年7月15日 文系編②
採否を分けるポイント
Q:研究の意義や重要性など,自身でも考えてみるものの他の申請者と大同小異であることを鑑みるとやはり採択されるほどのインパクトや独自性を持つとは思えません。どのような点が採否を分けるのでしょうか?
A:それぞれが意義のある研究をしているので、難しい問題です。ただ、その意義にはいろいろな種類があります。財団の人が何を重要視しているかで意義や求められることが違ってきます。それらのことを良く考えて申請書を書けば良いと思います。
書くべきこと(意義)が書くべき場所に書かれていることも重要です。また、わかりやすく書くことも重要です。ただ、自分では判断しにくいので、周りの人に申請書を読んでもらって、わかりやすく書けているか確認すると良いでしょう。
ですます調とである調
Q:記載するときは,ですます調で書くべきでしょうか?
A:どちらでも構いません。申請書を書いてみて、スペースに余裕がない場合は、である調の方がスペースを節約できるので良いです。
海外財団の情報
Q:海外の財団に関する情報がまとまっているようなプラットフォームはありますか?(地域が限られているものも含めて)
A:財団が提供している研究助成金のまとめサイトでしたら、ややヨーロッパに偏りますが、以下の2つはお勧めです。
ECRcentral https://ecrcentral.org/fundings
Fund it https://fundit.fr/en
個別具体的な相談は、学術研究支援室の海外ファンド獲得支援チーム<foreigngrant@kura.kyoto-u.ac.jp>へお問い合わせください。
Q:海外の財団に応募する際に注意すべき点など、今回の講義のように情報を得られるような機会はあるでしょうか?
A:申請書の記入要綱や様式は、財団の規模や所在国によってまさに千差万別です。奨学金や助成金への応募を考えているという方は、学術研究支援室の海外ファンド獲得支援チーム<foreigngrant@kura.kyoto-u.ac.jp>へお問い合わせください。
また、学術研究支援室では海外ファンドの説明会を時々実施していますので、学術研究支援室のHPもチェックしてみてください。
情報メルマガ
Q:本部構内(文系)共通事務で掲載されている公募情報について、メルマガなどで提供する予定はございますでしょうか?
A:本部構内(文系)の教員に対しては、共通事務の情報と鎗の情報を併せて、月に2回メールで配信しています。要望次第で配信の幅を広げることができるかもしれませんので、何かあればご連絡ください。